俺たちの連ザ?大会は、まだ始まったばかりだぜ

俺はそうゲームセンターという名の修行場へむかった。ここにくるのは久しぶり、そう一日ぶりだ。

 百円玉の落ちる音とともに俺の意識ははるかコズミック・イラへと飛翔する。機体はストライクフリーダム。乗り手は誰だっけ。Bルートを選択する。いつもどおりの平和なルート。ところが、今日は異変がおきた。
 乱入があったのだ。そう、Aラインで戦っているものには乱入がまれにあるんだ。Aは、「おまえまち」のラインだから。
 こいよ、と俺は思った。画面に映る緋文字のCAUTION、対艦、対MS戦闘用意。かるく指を鳴らして舌を噛む。
 ニコルの乗る無限正義。相方はゲイツRで、ザフト兵A。
 恐らく一人だろう。
 おれもだよ。


 そして戦いは始まった。
 CPUに突撃指示をだしてSドラを待機。高速で接近しつつBRの撃ちあいから一度建物でBDを建て直し、ステップで中距離へ。
やや距離をとりながら互いにすべるようにステキャンで地面を移動する、風さえ感じられそうな疾走感と緊張感。めまぐるしく視界のなかで左右へ軽やかにステップする隠者をひっしに追う。レバーを軽くもちながらの撃ちあい。被弾なし。交差するように立ち位置を交換しながらBRを撃ちあう。先にあてたのはこちらだった。もらった、と思う瞬間もなく、たたらを踏むようによろめく隠者。間髪いれずに待機ドラを射撃に切り替えBDで間合いを詰める。敵もかろうじてステップを踏み、誘導をきってドラ射撃を回避、だが、遅い! 前格闘をいれこんだこちらの強襲をバックステップで避けた隠者が返礼で特格を叩き込んでくる。距離は二歩ほど、一秒ほどで強襲してくる、こちらは格闘動作へ移行する直前。直撃を確信した隠者の操手の顔がみえた気さえしたんだ。だが、あまいんだよ! キャンセルから本命のCSを叩き込む。接近動作の隠者はよけられない! たまらず命中。ダウンする隠者から距離をとってふたたびドラを待機残弾7。起き攻めでBR、よけられる。隠者は一気に接敵してくる、ステップを使って後ろへ避け、瞬間にアンカーが飛んできた。つかまった。連続して三段ヒットを暗いながら、ダウン。
 起き上がって、被ダメはこちらが多い。
 やるじゃねぇか、と俺は思った。
 赤い機体は余裕をみせつけるように変形して飛行、こちらの死角の建物にもぐりこんだ。おびき出す。ステップを踏みながら射角を探す。うかつに飛び上がるとリフターがとんでくる。BRを射撃。建物に当たり、建築物がゆっくりと沈み込んでいく遮蔽物がなくなる瞬間にワンステップ、隠者がリフターを飛ばしてきた。ステップで回避。かろうじて一撃目はさけた。建物にこちらが隠れる。ドラを敵に飛ばす。包囲するようにドラグーンが機動するのを、たまらず隠者が飛び出してくる。こちらは一気に間合いをつめてBD格闘、はずす。隠者の追撃のBRは角度がわるかったのか当たらなかった。運がいい。ふたたび間合いが開いて小さく飛び上がった隠者がリフターを飛ばしてくるBDのままで回避。背面からの射撃。まさかとは思ったが反撃のBRが命中した。タイミングよくCPUが次弾をあてた。歓喜の悲鳴をあげそうになった。足元がゆれる。フリーダムの射撃で三連続ヒット、ダウンを奪う。つづいて近寄ってきていたゲイツRに特格を決める。ダウンを奪えればいい。
 形勢逆転、というところだ。俺は小さく勝利を確信した。ここまでで、たとえて言えば第三ラウンドがおわったというところだろうか。 第四ラウンド。俺はドラを待機。残弾2。あってもなくても同じ弾数だが、ようするに相手にプレッシャーをあたえられればいい。中距離から射撃、続けざまに至近距離での戦いになった。ステキャンをマスターしたレベルの者には歩き射撃はあまり使えない。あっさり射角に入られる可能性があるためだ。とか思っていた瞬間はたぶんぼんやりしていた。ハイパーフォルティスが命中。ダウンを奪われる。今度は相手の勝ち。起き上がる、と同時に至近距離にいた隠者はなんと起き上がり格闘を仕掛けてきた。ステップが間に合わない。奥歯を噛み切りそうになる衝撃とともに、デスコンが炸裂。一気に耐久度はレッドゾーンに入り込んだ。続けざまの起き攻め、二回は同じ手は通じないっ! と叫びそうになる。それはステップ回避からの横格で答えた。ダウンする隠者、起き攻めは苦手なのだ適当に逃げ回る。
 心臓が破裂しそうだった。これでほぼ同じ体力だろう。100はもう残っていないはず。BR一撃はふせげても格闘は防げまい。
中距離からの撃ちあいで最終ラウンドが始まる。あいかわらずあたらない。小さくジャンプしながら適宜奇襲を狙う。建物の隅に入り込んだ瞬間には、適当にCPUにCAを食らわせてダウン。闇討ちを狙って上から接近してきた隠者をしのぎつつBRBRBRBR、距離をとる。あたらず。向うもリフターを飛ばす。長距離からのCAと交差するように隠者のBRが飛んでくる頬を掠めるような距離で緑色の閃光が通り過ぎる。

 一瞬レバーを離して手を降る。上等。突然、隠者は大きく飛び上がって意味も無くシールドをだした。
 格闘一戦、ということか。

 おもしろい、と俺の俺は思う。同じようにとびあがって盾を出す。
 BDで、向うは変形して一気に距離を詰める。自由落下で互いに至近で着地した。
 ステップ、で距離を測る。続けざまのフワキャンで必殺の距離を測った。そして、一瞬機体右側に隠者が機動したそのた瞬間特格を入力、ぐわっと距離を詰めるストフリ。隠者にあたるかと思われたその瞬間。
 ステップがきまった。空振り。
 負けた、と俺は思った。隠者の性能を、舐めていた。
 そして、隠者の横格闘がきまる。回転するようにソードを叩き込むインフィニティッドジャスティスの前に、なすすべもなく爆裂四散するストライクフリーダム
 負けた。


 だが残り440のコストがある。天空から戦場におりたつストフリを身ながら、また俺はレバーを握りなおした。
 続く! かも。